環北太平洋沿岸地域(新旧両大陸の北太平洋沿岸地域)において先住民文化・社会の間に類似性や共通性が見られることは、100年以上前から知られていた。この類似性や共通性を解明するために、フランツ・ボアズ(Franz Boas)によるジェサップ北太平洋調査プロジェクト(1897年~1902年)など大小さまざまな調査・研究が試みられてきた。本研究の目的は、環北太平洋地域の先住民の諸言語・諸社会・諸文化の変化と現状、未来について、(1)自律期、(2)接触期、(3)植民地期、(4)国家による同化期、(5)政治的自律化期、(6)未来の6つの時期に分けて、(1)歴史・考古学、(2)言語学、(3)文化人類学の視点から学際的に比較検証し、その異同の諸側面を総合的に解明するとともに、同地域の先住民社会の未来を構想することである。北太平洋の東西沿岸に分布する先住民社会の間にみられる文化的類似性と共通性をどのように考えるべきか、彼らの言語・社会・文化がどのように変化してきたか、現状はどのようであるか、そしてそれらは今後どのように変化していくか、を解明する。