出し入れされる伝統 アラスカ先住民のサケ漁における近年の変化についての考察
日本文化人類学会第42回研究大会
アラスカの先住民グィッチン社会におけるサケ漁の形態は、定住生活の開始や外来の工業製品の流入などによって変化したが、漁獲を見返りなく分配する社会慣行は維持されてきた。しかし近年、燃料価格の高騰や伝統継承の危機などの新たな状況を受けて、分配のやり方に新たなルールを付加する一方、廃れていた伝統的手法を復活させるなど柔軟な対応を見せている。この事例を元に、民族社会における「伝統」について考察をこころみた。