人種主義についての物語として読むミュージカルWicked(研究ノート)
Wicked(2003)は、トニー賞に輝く人気のブロードウェイミュージカルであり、米国で誰もが知る児童文学The Wonderful Wizard of OZ(1900)の書き換えの物語である。Wickedでは、原作の「西の悪い魔女」が主役となり、その視点から物語が展開する。本稿では、Wickedを人種の視点で解読する可能性について検討する。主人公エルファバが、権力者によって恣意的に構築された人種間の境界線を転覆させることで、現実のアメリカ社会の人種主義を批判していると論じる。
『城西国際大学紀要』第25巻第6号 87-93