【目的】我々は平成18年度に「制度改正前の一般用医薬品販売における薬剤師の接客環境と業務実態」について首都圏の約80店舗を覆面調査し、第6回の本学会において報告した。今回は制度改正により業務実態がどのように変化し定着したか、同一店舗について調査を行い比較検討し、一般用医薬品販売制度定着状況調査(平成21年より)のデータと対比させ、制度改正が首都圏の薬剤師および登録販売者の業務にもたらした影響及び平成18年の業務実態に比べ改善された点、さらに改善が必要な点を考察する。
【方法】一般用医薬品の販売環境の調査:
1)一般用医薬品販売環境の実地調査。薬局・薬店(一般販売業店舗)における一般用医薬品の販売環境(立地・周辺環境、I類医薬品取扱いの有無、陳列、掲示、情報提供・相談体制、専門職の配置など)を実地調査する。
2)平成18年度および25年度の定点データと一般用医薬品販売制度定着状況調査の比較検討。薬事法改正によって変化した接客環境と業務実態について、明らかにし、さらにその要因を探る。調査対象:平成18年度および25年度の独自調査データおよび平成21年~平成24年の一般用医薬品販売制度定着状況調査(厚生労働省)の結果を比較検討する。
3)Ⅰ類解熱鎮痛薬の購入を希望するが本来なら販売を見送るべき客の「背景」を設定し、口頭質問による調査を行う。
【結果・考察】1)平成18年度および25年度の定点データ比較により、一般用医薬品販売環境は、チェーン毎の差異より店舗毎の差異が広がっていた。2)厚生労働省一般用医薬品販売制度定着状況調査(平成21年~平成24年)における千葉県標本と、今回調査した千葉県内の店舗とでの専門家の在店する割合に差が見られた。これは人口規模別の分布が大幅に異なったことによると推察され、医療過疎地域における専門家の不足を反映していると考えられる。3)I類医薬品を希望するが本来なら販売を見送るべき客へ販売する割合は、平成18年度の割合に比べ25年度で増加する傾向が見られたことから、観察数を増やし、継続的に検討する必要がある。
(共同研究につき本人担当部分の抽出不可能)