【目的】アドリアシンは染色体の塩基対間に挿入されると、遺伝子発現を阻害する。この作用機序の詳細を解明するために、創傷治癒過程の遺伝子発現を網羅に解析した。
【方法】コンフルエント状態のヒトケラチノサイト細胞(HaCaT)をプラスチック製櫛により帯状に剥離し、その後1時間までアドリアシン存在又は非存在下で培養し、受傷6時間後に細胞を集めた。細胞から調製した全mRNA(転写)およびmRNA当たり3個以上のリボソームが結合したmRNA(翻訳)を抽出し、DNAマイクロアレイを用いた解析を行った。次に、得られた結果について、パスウエイデータベース解析を行った。
【結果】アドリアシンは、①転写レベルではGastric cancer network 2 (WiKiPathways)を、②翻訳レベルではGastric cancer network 2を含む14系統のPathwaysを調節した。
【考察】アドリアシンは、複製および転写の阻害作用に加え、翻訳レベルでも遺伝子の選択的な発現調節作用を有する可能性が示された。
共同研究につき本人担当部分の抽出不可能