一般用医薬品の消費者の期待に応えた販売とその適正使用に必要な、薬剤師による積極的な情報提供、オーバーザカウンター(OTC)など薬事法を遵守した対面販売を行える店構え、販売規模に対する薬剤師人数等の販売環境の現状を、首都圏の店舗において実地調査した。並行して、薬剤師が情報提供を行う上での理想と現実とのギャップを、同じく首都圏の薬剤師について調査(有効回答数429)を行い、積極的な情報提供や相談応需を阻む要因を解析した。今回の販売制度改正は、3年間にわたって段階的に進められている。その経過措置期間中とは言え、薬剤師不在の店舗や改正前法令にも抵触すると思われる状態が確認された。また、個々の薬剤師は自が一般用医薬品を販売する上で、現状の不満や矛盾を意識してはいるが、対応は一般用医薬品の適正使用には不十分であることが浮き彫りとなった。今後、継続的に同様の調査を行い、市販薬の販売環境が“改善”されていくかどうかを、確認していく必要がある。更に、今回の法改正の内容を未認識の薬剤師に周知させることおよび、消費者への一般用医薬品の分類が行われることの一層の啓発が必要である。