特集『山姥たちの物語―女性の原型と語りなおし』を解読する　

ジェンダー・女性学研究所研究会　

　2002年に出版された『山姥たちの物語―女性の原型と語りなおし』の本は、水田先生の序論「山姥の夢」をはじめ、「山姥の起源」「山姥を語りなおし」について12人の女性研究家が解読してる。本書は、女とは何か、ジェンダーの起源とは何かを探求するため、重要な手がかりを提供しているという研究アプローチを示唆している。
　日本で始めて山姥研究をフェミニズム文学批評の中に位置づけたのは水田宗子である。山姥と表現についての水田先生の先駆的、実験的な提起はフェミニズム批評活動に新しい方法を与えてくれるとともに重要な意味を持っている。
　水田先生が指摘するように、「山姥は現代女性作家の語りなおしを通して、確かな女性の原型として甦ってきた。それは、自由に自らの生き方を全うする、ジェンダー規範の外に生きる女の原型である」（ｐ.37）という視点は本書の問題提起の焦点である。