研究ノート「長崎の記憶遺産の研究――林京子の文学を読む視座に」
八月九日原爆忌がある長崎という場所は独自のアイデンティティがある。 本研究は林京子文学を糸口として、「語りえぬものの実存」の表象をモチーフとした、林 文学における原型の一つである「祭り」の象徴の意味を考える。作家林京子は長崎で原爆を 生き延びた一人である。「祭り」の原型は林京子文学の記憶の源である。記憶による言葉 によって、より生々しく原爆の歴史が保たれているのである。
『城西国際大 学紀要 』
第27巻
第6号