トウガラシやワサビは辛味健胃薬として食欲促進、消化促進などの効き目がある。トウガラシの辛味成分カプサイシンは、バニロイド受容体TRPV1を活性化することが知られているが、近年、ワサビの辛味成分アリルイソチオシアネートはワサビ受容体TRPA1を活性化することが明らかにされた。TRPV1 とTRPA1は受容するものは異なるが、どちらも主に求心性一次知覚神経に発現しうることから消化管の生理機能発現においては共通する作用も多いことが考えられる。本稿では、主に胃機能調節におけるワサビ受容体TRPA1の役割について、TRPA1活性化薬アリルイソチオシアネートの胃における薬理作用をTRPV1活性化薬カプサイシンと比較し記載した。
田嶋公人、松本健次郎、堀江俊治 共著
特集/最近注目されている消化管の受容体 pp.10~16