本研究は、プラトン著作の伝承に関する研究である。最終的には、プラトンの原テキストの再構成、すなわち、個々のテキストの校訂を目的とする。他方、同時に、その作業の前提として、再構成を行うための原資料、すなわち、写本について、その成立の歴史的文化的背景をも明らかにする。すなわち、写本の伝承過程という、いわば原テキスト再構成を規定するフィルターの特質を解明する。前者は20世紀半ばよりプラトン著作校訂上の問題として、現在進捗する課題に、原資料の複写を以って能動的に参加することである。後者は、なぜ9世紀にプラトンの写本が成立したのか、同時代的状況ならびに、成立前史、周辺史を解明することである。