研究課題番号:26370363; 研究期間: 2014年度―2016年度; 2014~2015年度:124万円
本研究の目的は、プラトン著作本文伝承の全体像を解明することである。具体的には、写本上の派生本文と主要本文とを区別し、単に諸主要本文を校合することに留まらず、なお、(1) 主要本文並びに派生本文の行上方(supra verba)、字間(in textu)、欄外(in margine vel extra lineam)における、付加、混入、修正、削除による異読、(2) 引用、翻訳、初期版本等間接伝承における(特に、哲学著作群伝承に共に与る注釈、教本等における)諸異読、以上二類を蒐集、分析、評価することをも施した上で、初期本文を総合的に再構成することである。特に、本研究では。中世後期、後代写本「派生」本文として、その異読が顧みられることが少なく、また19世紀版本では、報告が正確性、統一性を欠く、中世後代フィレンツェ、ヴェネツィア写本の諸異読に焦点を当てる。