A Chasm underneath the Smoothed Consensus: A Note on Plato’s Idiosyncratic Use of ἀληθῆ λέγεις.
「あなたの主張していることは正しい」を意味する慣用の応答様式ἀληθῆ λέγειςは、問いに対するもっとも一般的な応答様式「はい」に相当するναίと交換可能なものと考えられているけれども、古代の文学における用法では一般的に、問いに対してではなく、主張に対する応答様式であるのに対して、プラトンでは、文法的にも、また、内容的にも、疑問の文に対しても用いられている。このことは、単なる相互の意図に関する齟齬ばかりでなく、同意の内容に関する齟齬を示唆する。
東京大学大学院人文社会系研究科西洋古典学研究室『東京大学西洋古典学研究室紀要』4(2008)pp. 83-93