<研究ノート>「東金地域採集、再話『横笛紋太』の原-物語構造 ―地域環境誌研究ノート―」
東金地域で採集された再話「横笛紋太」の物語は、江戸期を舞台として、村人紋太が、横笛修行の道程で、江戸に上り、名笛「ぬれ羽の笛」の存在を知り、そこから、この名笛を求め、秘匿された陸奥の寺に上り、仏僧として修行を遂げた末に、終に名笛を紐解き奏で、身を亡う物語である。本稿では、この物語生成の原構造を、笛、遊行者ネットワーク、亡身の文化史的背景に関する考察を通して解明し、その原構造の示す世界像が、科学主義が支配する時代に有する意義について付言する。65-93
『城西国際大学紀要』22-7 (2014)