本研究では、施設入所中の虚弱高齢者を対象に口腔細菌数の測定を行った。対象者の経口摂食の有無や口腔ケア方法と口腔細菌数との関連や口腔細菌数の日内変動について検討した。これらの調査は、対象者に適した口腔ケアの方法や頻度の選択基準となる基礎的データを得ることを目的として行った。
A介護老人保健施設に入所中の要介護高齢者14名(男性3名、女性11名、平均年齢84.7歳±5.2)を対象とした。経口摂取しているもので、歯ブラシと含嗽を自己で行うものと、経口摂取しているが含嗽が困難であると判断されて口腔ケア用ウエットシートによる口腔清拭を介護職員により受けているもの、胃ろうが造設され経口摂取しておらず口腔ケア用ウエットシートによる口腔ケアを看護師から受けているものを対象とした。
歯ブラシと含嗽の口腔ケアは、唾液中の口腔細菌数を最も少なくすることができる簡易で効果的なケア方法であることが明らかになった。口腔ケア用ウエットシートを使用した口腔ケアは、経口摂取が行われている対象者であれば誤嚥性肺炎を起こさない程度の口腔細菌数にまで減少させることが可能であることが示唆された。経口摂取をしていないものは、一日を通し口腔細菌数が高値であり、口腔ケアの頻度や方法を検討する必要があることが示唆された。
実験を担当し、データの収集を行った。論文内容確認。