愛国婦人会新潟県支部の活動を明らかにすることをとおして、会の位置付けを検討し、さらに社会事業が厚生事業に取り込まれていく過程を検討する一助とすることを目的としたものである。
従来、評価の低った愛国婦人会による社会事業であるが、新潟県支部においては、予算のほとんどを社会事業に充てる時期もあった。本県の特徴でもある農繁期託児所は愛婦会によって支えられたものでもあり、大きな影響を与えていたといえよう。また、活動内容には実践を行う婦人たちの子どもの・女性の生活を支えたいという素朴な思いもあり、広く浸透していく。一方で、社会事業から厚生事業への変質に際してはその限界がきわだつものとなった。
「愛国婦人会による社会事業―新潟県支部の展開を中心に―」pp.9~28