脳卒中片麻痺者に対する体幹部回旋他動運動の効果が、骨盤前傾を伴う前方移動能力(麻痺側下肢)にどのように繋がっているのかを検証するために、麻痺側swing動作の変化を解析した結果、体幹部回旋他動運動実施後の歩行動作では、麻痺側ステップ長(P<0.05)の有意な増加および歩行速度(P<0.01)の有意な減少と同時に、麻痺側swing動作時における骨盤前傾角度(P<0.01)と骨盤の推進性(P<0.05)の有意な増加が認められた。体幹前傾角度とは有意な差は認められなかった。体幹部回旋他動運動実施後の麻痺側swing動作の変化から、麻痺側ステップ長の増加や歩行スピードの向上は、麻痺側骨盤前傾角度の向上による身体の前方移動(骨盤の推進性向上)を伴っており、脳卒中片麻痺者に対する体幹部回旋他動運動は、運動量戦略による姿勢制御を伴ったswing動作に繋がっている可能性が示唆された。
プログラム集 p.71
O-NV-14-1