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Name Kouki Taniuchi
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第25-26回合同 千葉県理学療法士学会 教育講演 片麻痺症状を呈している中枢神経麻痺に対する歩行アプローチ ―理学療法士がしなければならない運動療法―

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2021/03/14

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Dummary

「脳卒中片麻痺」我々が良く耳にする言葉ではあるが、運動麻痺という観点に絞って言うならば、「脳卒中後遺症による主に片側半身に対し随意運動障害を呈している症状」というのが、正確な言い方であり、片麻痺の「麻痺」は一般的見解として錐体路障害による随意運動障害のことを指していることは言うまでもない。しかも、麻痺側と反対側が健常かといえば、そうではなく健側と言われなくなってかれこれの年月が経ち「非麻痺側」といった表現が一般化している。つまり、麻痺側ではないが健常側ではないといった表現である。私はこの論議を進めるつもりはないが、そもそも「立つ」「歩く」といった我々の日常の活動が、随意運動で行われていないことは明白であるにもかかわらず、随意運動能力を指標としていることに、疑問を感じる。
 今や言うまでもなく、脳卒中リハビリテーション治療効果におけるエビデンスの集積は日々行われており、脳卒中治療ガイドラインの改訂・追補がそのことを物語っている。回復期リハビリテーションでも、FIMといったADL指標の下、年々在宅復帰率も向上しており、回復期リハビリテーション分野もリハビリテーション医療の中で明確な位置づけを確立している感があるが、一人の理学療法士として臨床現場の詳細に目を当てた時、【自立】と【見守り】との壁にぶち当たる。いわゆる「FIM5」の壁である。私は、自らが講師をつとめる理学療法士講習会の中で、【「FIM5」の壁 突破できず症候群】という表現をしている。【自立】と【見守り】は雲泥の差であり、家屋内移動(15m移動)を考えた場合、FIM5は15m〜49mは【自立】して移動が可能なレベルである。「移動=歩行」ではないが、我々理学療法士は「歩行」に拘った理学療法、つまり15m以上の屋内歩行を【自立】させる理学療法に本気で向き合って欲しいと願っている。15m〜49mの歩行において【見守り】レベルに終わる人の中には、発症前に機能していた「中枢神経機能」に対し、理学療法士がアプローチできていないことが原因ではないかと考えている。中枢神経麻痺に対する歩行アプローチにおいて、『絶対に逃してはならないものを逃していた』ものと私は捉えている。
 脳卒中治療ガイドライン2015(追補2019)の「歩行障害に対するリハビリテーション」において、内反尖足における装具療法やボツリヌス療法そして下垂足に対する機械的電気刺激は、『グレードB』の評価が示されている。しかし、トレッドミル歩行練習においては、歩行速度や耐久性改善こそ『グレードB』の評価が示されているものの、歩行自立の割合に関しては有用性が示されていない。私は数年前よりこの分野における【ステップ2 (レベル2)研究「劇的な効果のある観察研究」】に取り組んでいる。本講演で、データを示すことは時間的に難しいかもしれないが、明日からの臨床に少しでもお役に立てるよう臨床画像(動画)にて、理学療法士がしなければならない運動療法として説明しようと考えている。
また、時間があれば、脳卒中治療ガイドライン2015(追補2019)の「歩行障害に対するリハビリテーション」におけるトレッドミル歩行練習が、リハビリテーション開始時に歩行が自立した症例でしか効果(歩行速度の増加)が示されていないことに関しても、講演の中で触れてみたいと考えている。
 臨床的見解にいくら確信をもっていても、学問的体系が確立されていなければ医療界全体の発展はないと常日頃思っている。だから、「臨床も大切」「研究も大切」これからも二刀流の理学療法を目指していきたい。

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