外国語教育における交流学習は、交流自体を目的とした学習や交流という場を活用した深化学習、さらには交流相手との協働学習など、教室と教室の外のつながりの中で学びを実現してきた。しかし、外国語教育において交流学習はいまだ浸透しているとは言えない。その理由として、例えば日韓交流学習では、実践したくても交流相手が見つからない、学習をデザインする方法がわからないなどの教師の声が聞かれる。そこで、日韓両国の日本語教育、韓国語教育に携わる筆者らは、交流学習に関する教師コミュニティを形成するために、日韓合同「交流学習」教師研修を行い、その成果と今後の課題を探った。研修参加者を対象としたアンケートの分析結果からは、交流学習実践コミュニティの形成に一定の成果が得られたことが明らかとなった。また、交流学習の単元案の分析結果からは、学校間交流学習に限定した単元案が多い中、教室と社会との連続性を意識した拡張的学習の萌芽とも言えるものもデザインされていることが明らかとなった。筆者らはこの分析結果をもとに、今後、交流相手とともに様々な職業、様々な社会活動にかかわる人々と交流しながら学び合う<拡張型交流学習>とその実践を支えるコミュニティづくりを目指すことにした。
執筆担当:1章、3章、6章 共著者:澤邉裕子・岩井朝乃・相澤由佳