著者が群馬県藤岡市の老舗旅館の蔵で発見した「国史大辞典予約者芳名録」(明治40年刊行)を手掛かりに、明治後期の日本の読書・出版事情を考察した研究書。著名な文学者や辞書編纂者らが予約する一方、理系の学者や地方の名望家の名が多いなど、予約者の多様性が明治後期の日本人の知的好奇心や向学心を映す鏡となっていることを実証した。また、日本や韓国、台湾の公立図書館・大学附属図書館などを調査し、初版の国史大辞典が100年の星霜を経て、500冊以上現存することを確認、多くの人に読み継がれた辞書の流転や変遷の足跡を明らかにした。(全240P)