小学生の『自由帳』に描かれたもの 学習、生活、遊びの境界で
自由帳は、教諭の指示ではなく、純粋に遊びとして描かれることから、小学生の興味や趣味が端的に表れる。一般的には、漫画などのモチーフの描画は、文化や教育的価値のあるものではなく、単なる模倣や遊びとみなされてしまうが、筆者はここに、大衆メディアの影響による時勢の表出や、独自の受け取り方による文化の伝達と解釈、再創出のようすを見出すことができると考える。本論は、自由帳の収集、その描かれ方の分類・考察を交え、小学生の自主的な創作物に文化・教育的価値があるという一面を見出すことを目的とする。
桜美林大学『人文研究』 第9 号