424,000 m2のホテルセキアと132,000m2のラディソンホテル成田は、地域社会の中で広大な敷地をもつランドマーク的な存在であり、一企業の枠を超えて地域にとって重要な資産である。広大な敷地面積を有しながら経営不振が続くホテルが地域の中に存在することは、シャッター通りと同様に地域の景観を損ない地域の活性を削ぎ、外部不経済をもたらす。これらのホテル事業の再生は、地域協働のもと地域資源を活かしてビジネスモデルを大幅に組み換えることが求められる。再生を果たしたリゾートホテルが、国内交流人口と訪日外国人の「ひと」を呼び込み、質の高い「しごと」を継続的に安定的に創出し、若い世代が安心して生活できる環境を提供する。地元の歴史・風土・自然・文化などの地域に内在する条件に立脚し、地域社会と協働しながら、ホテル再生と地域再生、経済的価値と社会的価値を同時に追い求める事例は、地域と企業がともに持続可能な発展をなし遂げる新しい可能性を示している。
袁 福之、古屋 躍子