本稿ではブロックチェーンを活用する仮想通貨に着目し、送金および決済手段として仮想
通貨が日本人に受容され、選択されるために克服すべき課題について考察する。
中世から近世の日本では、渡来銭をはじめ公権力による保証がない複数の貨幣が流通し、
人々は価値が安定した貨幣を選好していた。為替手形などの送金システムは信用を元に運用
され、江戸時代には高い社会的信用力を持つ両替商が銀行に類する役割を担っていた。この
ような歴史から、価値の安定と運営主体の社会的信用力の向上、資産を守るという銀行的な
視点が導入されることにより、仮想通貨は日本において送金・決済手段になり得ると考えら
れる。
さらに、現在開発競争が激化している海外送金サービス、国内送金サービス、国際取引に
おける決済システムの決済手段として仮想通貨が選択されれば、市場が急激に拡大し、これ
までにない新しい選択肢が誕生すると期待できる。
袁 福之、入田 康夫