ウィリアム・ジョージ・アストン(William George Aston)の口語文典 A Short Grammar of the Japanese Spoken Language の初版(1869年)における名詞句の扱いを検討した。そして、アストンが助詞ガとハの限定辞的な機能への注目とホフマンの文典におけるガの扱いとの違いが明らかになった。また2人称代名詞の記述では対人関係への着目が見られ、のちの記述への萌芽となっていた。指示詞についてはソ系・ア系指示詞における記述が不十分で、指示詞の体系を提示するには至っていないことが示された。