【目的】今日では保険財政の悪化、高齢化に伴いセルフメディケーションへの関心が高まっている。しかし、使用者が適切な情報を得られているとは限らない上に、誤った情報の流布や解釈が健康被害を引き起こす危険性もある。そのため、調剤目的で来局した患者を対象に、一般用医薬品(OTC)に関する調査を行った。
【方法】調剤を併設するドラックストアにおいて、OTCに関する来局者へアンケート調査を行った。本研究の目的を説明し、同意が得られた患者を対象に、直接聞き取りによる調査を実施した。調査内容は、OTCの特徴、購入に関すること、分類や情報に関すること、また分類に関しては、具体的なOTC名を出して、購入できると考えられる店舗などを調査した。
【結果】回答者は104名(平均年齢62.8歳)であり、医療用医薬品とOTCがあることは8割以上が知っており、最も多い情報源はテレビであった。OTCは比較的効果が弱いとの回答は8割以上であったが、複数の有効成分を含む配合剤が多いことを知っていたのは半数以下であった。OTCの分類については、第1類、2類、3類医薬品、医薬部外品について購入可能な店舗の質問に対して、「医薬品は全てドラックストアと薬局で購入可能」との回答が最も多かったものの、第1類がスーパーやコンビニで購入できるとの回答があり、薬剤師の居ないスーパーなどでも一部のOTCを購入出来ることは知っているのは2割弱であった。医薬品購入時に薬剤師の説明を受けた経験があったのは6割に近かったが、第1類OTCの販売に薬剤師の書面による説明の義務化を知っているのは半数以下であった。
【考察】一般の方は、OTCの分類は理解できておらず、購入者は薬剤師の必要性は感じ取っているようであるが、医薬品の分類との関連は全く知られてない。しかし、薬の購入時に不便さなど現実に直面した時に初めて認識するとの回答が多かった。購入時に重視しているのはブランドやCMなど、日常よく見かけるものが多いと考えられる。しかし、購入者はあくまで『安さ』『使いやすや』『効果』などを見ている為、思わぬ相互作用の原因になる要因がアンケート内でいくつか挙がる結果になった。
【結語】一般の方はOTCに関して関心はあるものの、その内容や分類などの知識は乏しく、セルフメディケーションの推進には積極的な啓蒙活動を行っていく必要がある。