【目的】我々は,天然由来の抗炎症物質の探索を行い,多くのトリテルペン類を単離し,その構造活性相関を報告して来た.今回,薬用キノコ(茯苓・霊芝・鹿角霊芝・チャーガ)から単離したラノスタン系トリテルペン類の構造活性相関について報告する.【方法】各種キノコ類は,それぞれメタノールで抽出し,各種カラムクロマトを用いて単離・同定した.抗炎症効果は,ICR系雌性マウスの右耳の内外耳殻に発癌プロモーター12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate (TPA)を塗布することにより炎症を惹起した.検体は,TPA塗布の30分前に同一部位に塗布した.抑制率は,最大腫脹時であるTPA塗布の6時間後にポケットシックネスゲージで耳殻の腫脹を測定し算出した.【結果】茯苓から16種,霊芝から13種,鹿角霊芝から4種,チャーガから8種のトリテルペン類を単離同定した.茯苓の主成分であるパキマ酸を含む6種の化合物はヒドロコルチゾンと同程度の効果を示した.その他のトリテルペン類は,非ステロイド抗炎症薬インドメタシンと同程度かそれ以上の抑制効果を示した.これらの化合物について,構造活性相関を検討したところ,茯苓のトリテルペン類では,21位にカルボン酸が導入されると強くなり,これがメチル化されると効果は減弱した.その他の詳細について報告する.【考察】今後は,強い抗炎症効果を示すことが明らかとなったラノスタン系トリテルペン類の作用メカニズムの解析が必要である.
The Japanese Society of Inflammation and Regeneration
JSIR 2014 OKINAWA
P.171