【目的】我々は多くの薬用・食用植物から,抗炎症成分を探索し報告している1).また,薬用・香辛料として用いられているAlpinia属植物について研究を進めている.今回,香辛料として利用されている良姜(Alpinia officinarum)と伊豆宿砂(Alpinia japonica)のメタノール抽出エキスが,抗炎症効果を示したことから,活性物質の探索を行い,良姜から2種のフラボノイド,伊豆縮砂から4種のフラボノイドを単離した.これら成分について,発癌プロモーターである12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate (TPA)が誘発する炎症に対する抑制効果を検討した.
【方法】メタノール抽出エキスから成分の単離には,Sephadex LH-20,Silica gel 60,ODS等を用い,7種のフラボノイドを単離し,各種機器分析装置を用いてその化学構造を決定した.
TPAが誘発する炎症に対する抑制効果は, TPA (1 nM)のアセトン溶液をマウスの右耳殻に塗布し,最高腫脹時である6時間後に右耳殻をポケット・シィックネス・ケージで測定した.検体は,TPA塗布の30分前に同一部位に塗布した.抑制率は,塗布前の耳殻の厚さと,腫脹時の厚さの差から算出した.
【結果・考察】
メタノール抽出エキス中の抑制物質は各種クロマトグラフィーにより,良姜からフラボノイド(1・2・5・6・7)を,伊豆縮砂からフラボノイド(3・4)を単離・同定した. TPAが誘発する炎症に対する抑制効果を検討したところ,alpinone (3)は抑制効果を示さず,そのacetate (4)は強い抑制効果を認めた.5・6は,天然から初めて確認された.
共同研究につき本人担当分の抽出不可能