講演・口頭発表等[R]

基本情報

氏名 懸川 友人
氏名(カナ) カケガワ トモヒト
氏名(英語) Kakegawa Tomohito
所属 薬学部 医療薬学科
職名 教授
researchmap研究者コード
researchmap機関

タイトル

B-リンパ芽球腫細胞のtranslatomeへ与えるマクロライド抗生物質のクラリスロマイシンの影響 

講演者

 

会議名

第6回ポリアミン学会(品川)

発表年月日

2015/01/20

開催年月日(From)

 

開催年月日(To)

 

招待の有無

 

記述言語

 

国名

 

会議区分

 

国際共著

 

会議種別

 

主催者

 

開催地

 

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概要

【背景・目的】マクロライド系抗生物質のクラリスロマイシン(CAM)は、炎症性サイトカイン等の発現調節を介した抗炎症作用を有することが知られている。CAMの抗炎症作用の作用機序を明らかにするため、抗炎症性サイトカイン のmRNAの安定化にmiRNAが関与しているとの報告に基づき、miRNAの発現へのCAMの影響をA549細胞を用いて解析し、miR-1249発現の増加及び15種類のmiRNAの発現の減少を観察した。この結果から、炎症に関連する遺伝子以外の遺伝子についても、その発現調節にCAMが関与する可能性が示唆された。本研究では、全mRNAの発現へのCAMの影響を明らかにする目的で、human B-lymphoblastoid cell (BJAB 細胞)のtranslatomeにCAMが与える影響を解析した。
【方法】(1)リボソーム結合mRNAの調製: BJAB細胞をCAM(25μg/mL)又はCAMの溶媒と72時間インキュベートした。BJAB細胞の細胞質を調製し、0.5~1.5Mのショ糖密度勾配遠心により分画し、mRNAあたりリボソームが3つ以上結合している画分から全RNAを抽出し、以下(2)の解析試料とした。(2)全RNA の網羅的解析: DNA microarray解析は、Filgen株式会社に委託した。
【結果】(1)CAMがポリソームプロファイルに与える影響: ポリソームの沈降パターンを検討したところ、CAM添加により軽いpolysome画分の割合が増え、重いpolysome画分が減少した。(2)CAMがmRNAのポリソーム形成に与える影響: ポリソーム画分に含まれる遺伝子について、CAM添加により減少した遺伝子数は781、増加した遺伝子数は2416であった。(3)WikiPathwaysで分類された遺伝子群の発現への影響: CAM添加によりmRNA processing 経路に含まれる53種の遺伝子の発現が促進された。炎症関連の遺伝子転写物については、EGF、IL16及びIL17が増加し、IL4R及びVEGFAは顕著に減少した。
(4)CAMがポリアミン代謝遺伝子のポリソーム形成に与える影響:ポリアミンの代謝酵素及びその調節因子の遺伝子産物のポリソームへの結合は、CAMの添加のみで協調的に正の方向に調節される可能性が示された。
【まとめ】以上のように、CAMは炎症に関連する遺伝子以外の遺伝子についても、その発現調節に関与することが明らかになった。また、CAMによるポリアミン生合成関連遺伝子の協調的な正方向への調節の機序の解明は、CAMの炎症抑制作用の新たな作用機序の解明にも繋がると考える。

主要業績フラグ