生薬シコンの有効成分シコニンは、抗炎症作用、抗酸化作用、創傷治癒作用及び抗腫瘍作用等を有することが報告されているが、その作用機序の詳細は不明である。本研究では、抗炎症作用の機序【目的】生薬シコンの有効成分シコニンは、抗炎症作用、抗酸化作用、創傷治癒作用及び抗腫瘍作用等を有することが報告されているが、その作用機序の詳細は不明である。本研究では、抗炎症作用の機序を明らかにするために、シコニンがTPA誘導-THP-1マクロファージ細胞(THP-M)の遺伝子発現に及ぼす影響等を解析した。
【方法】LPSにより起炎したTHP-M(sTHP-M)を、シコニン(80 nM)または0.1%DMSOを添加したDMEM培地に交換後、3時間培養した。同細胞から3個以上のリボソームが結合したpolysomal mRNAsを調製し、DNAマイクロアレイにより網羅的に解析し、得られたデータについて、さらにパスウエイデータベース解析を行った。また、タンパク質発現・代謝の調節因子について、免疫学的手法により解析した。
【結果】シコニンは、パスウエイデータベースに挙げられた7経路を有意に活性化した。この活性化は、これらの経路に主に含まれるタンパク質合成や分解の情報伝達に関与する遺伝子群の発現変化によると考えられた。また、シコニン曝露により、sTHP-Mにおいて①mTOR複合体2を構成するRictorがmTORと非共存状態で細胞質の外縁に増加すること、並びに②mTOR複合体1を構成するRaptorがmTORと共存していることを、免疫学的手法により明らかにした。
【考察】以上から、シコニンはmTOR複合体1を介するラパマイシン感受性の機構により遺伝子発現を調節し、抗炎症作用を発現している可能性が示唆された。
を明らかにするために、シコニンがTPA誘導-THP-1マクロファージ細胞(THP-M)の遺伝子発現に及ぼす影響等を解析した。
LPSにより起炎したTHP-M(sTHP-M)を、シコニン(80 nM)または0.1%DMSOを添加したDMEM培地に交換後、3時間培養した。同細胞から3個以上のリボソームが結合したpolysomal mRNAsを調製し、DNAマイクロアレイにより網羅的に解析し、得られたデータについて、さらにパスウエイデータベース解析を行った。また、タンパク質発現・代謝の調節因子について、免疫学的手法により解析した。
シコニンは、パスウエイデータベースに挙げられた7経路を有意に活性化した。この活性化は、これらの経路に主に含まれるタンパク質合成や分解の情報伝達に関与する遺伝子群の発現変化によると考えられた。また、シコニン曝露により、sTHP-Mにおいて①mTOR複合体2を構成するRictorがmTORと非共存状態で細胞質の外縁に増加すること、並びに②mTOR複合体1を構成するRaptorがmTORと共存していることを、免疫学的手法により明らかにした。
以上から、シコニンはmTOR複合体1を介するラパマイシン感受性の機構により遺伝子発現を調節し、抗炎症作用を発現している可能性が示唆された。
26PA-am185