【目的】既にDNA Intercalatorsのアドリアマイシン(Doxo)が、翻訳レベルでヒストンの発現調節する可能性を報告した。また、Doxoによるオープンクロマチンからのヒストン遊離の誘導が報告されている。本研究では、遊離ヒストン自身のmRNAsの発現調節への関与について検討した。
【方法】ヒトケラチノサイト(HaCaT)を用いた実験創傷系の培地に、Doxo又はDMSOを創傷5分前から25分後まで添加し、創傷後30分~6時間培養した後、抗ヒストン抗体を用い①免疫細胞化学的(ICC)解析、並びに②核質及び細胞質の各分画のウエスタンブロット(WB)解析を行った。
【結果】ICC解析により、ヒストンmRNAのステムループ結合タンパク質とヒストン分子種H2A.1或いはH2Bの核内の共分布、また、H2A.1及びH2Bの細胞質への分布を確認した。一方、Doxo処理後(30分~6時間)のWB解析により、負に翻訳調節するH2A.1ヒストンタンパク質は、細胞質の各分画に普遍的に存在し、正に翻訳調節されるH2Bは1~6個のリボソーム(TLN)への局在が確認された。
【考察】これらの結果はヒストンが自身の協調的翻訳制御に関与していることを示唆している。
26PA-am186