【目的】伊豆縮砂(Alpinia japonica)に含まれる抗炎症作用を示すAlpinone 3-Acetate(A3A)の翻訳レベルでの遺伝子発現調節を、遺伝子の網羅的解析により明らかにし報告した。本研究では、嗅覚の分子受容体olfactory receptors(OR)が、微小環境の変化として細胞外の分子を認識するとの仮説に基づき、この遺伝子に関する翻訳発現調節の機構を検討した。
【方法】TPA誘導THP-1マクロファージ細胞(THP-M)及びヒトケラチノサイト細胞(HaCaT)をA3Aまたは溶媒処理し、①低塩濃度(Free polysomes)、②高塩濃度(Cytoskeleton bound polysomes)、及び③ ②に2% NP40と1%DOCを添加した条件(Membrane bound polysomes)でmRNAを抽出しDNAマイクロアレイ法で解析した。A3A処理により両細胞で発現が確認されたOR mRNAsを、RT-RT-PCR法によりに解析した。
【結果】RT-RT-PCR解析の結果、A3A処理により両細胞とも①及び③の試料ではORs 2A4 のmRNAは溶媒対照に比べ有意に増加したが、②の試料では有意に低下することが明らかになった。OR 2B6 mRNAは、THP-Mの③の試料において溶媒対照比べ有意に増加した。他のOR遺伝子は、PCR条件下での発現または発現量に有意な差が認められなかった。
【考察】③の試料((Membrane bound polysomes)のOR mRNAが増加したころから、A3AによりOR mRNAsが粗面小胞体膜へと移動する機構の存在が示唆された。
26PA-am188