【目的】合成カンナビノイド(CBs)は抗腫瘍作用など様々な生物活性を有するが、その作用機構の詳細は不明な点が多い。本研究では、CBsにより調節を受けるmiRNAsとその標的遺伝子の発現を解析し、更にその周辺遺伝子の細胞内動体を免疫学的解析により検討することで、CBsの作用機構を考察する。
【方法および結果】THP-1細胞をマクロファージへ誘導(THP-M)し、CBs(JWH-018、JWH-122、JWH-220)の有無によりDMEM培地中で2時間培養した。細胞から3個以上のリボソームが結合したpolysomal mRNAsを調製し、DNAマイクロアレイにより遺伝子を網羅的に解析したところ、JWH-018の曝露によりmiR1224およびmiR4266のリボソームローディングが増加していた。両miRNAsの潜在的標的遺伝子のmRNAsをRT-RT-PCRにより解析したところ、La-related protein 1(LARP1)の発現が正の調節を受けていた。次いでLARP1および関連する遺伝子について、免疫細胞学的解析を行ったところ、CBsの曝露によりLa protein、p70 S6 kinaseおよびmTORの増加が観察されたが、LARP1P1の蛍光強度変化はJWH-018の曝露時にのみ観察された。
【考察】CBのJWH-018はTHP-M において、mTORC1を介したシグナル伝達に関わる遺伝子を正に調節する可能性が考えられる。
(共同研究につき本人担当部分の抽出不可能)