呼吸鎖を欠損した場合大腸菌は殆ど生育できないとされてきた。しかし大腸菌の呼吸鎖、H+-ATPase二重欠損株LF3が、十分量の炭酸を含むpH6.9の培地中で生育できることを報告した。そこで、呼吸鎖により形成されるプロトン駆動力の役割を明らかにする目的でLF3の高浸透圧適応を調べた。 LF3は高浸透圧培地では野性株に比べて増殖が阻害され、高浸透圧適応能が低下していることがわかった。LF3における高浸透圧条件下のK+の取り込み活性が野生株に比べ低下していることがわかった。以上より、呼吸鎖、H+-ATPase二重欠損株LF3は低浸透圧培地では増殖可能であるが、プロトン駆動力が殆ど形成されないため、高浸透圧条件に適応し難いことがわかった。
(共同研究につき本人担当部分の抽出不可能)