Clarithromycin(CAM)の主な代謝物であるN-Demethyl体(M-1)および(14R)-14-Hydroxy体(M-5)による蛋白質合成阻害の機作を検討した。大腸菌の無細胞蛋白質合成に対する阻害の強さは 、CAM=M-5>M-1の順であった。無細胞系を用いた、MS2ファージRNA依存のコート蛋白質合成はM-5≧CAM>M-1の順に阻害され、その阻害はいずれもN末端から2番目と3番目のアミノ酸の取り込みにおいて認められた。大腸菌リボソームとの結合の強さは,CAM≧M-5>M-1の順であった。ラット初代培養肝細胞の高分子合成に対する阻害の強さは、[CAM≧M-1>M-5の順であった。以上より、CAMを投与したときに現われる毒性が、主としてM-1あるいはM-1とCAMによる可能性が示唆された。
vol.38 pp317~323 (共同研究につき本人担当部分の抽出不可能)