ラパマイシンは5’末端にterminal oligo pyrimidine (TOP) tractの配列を持つmRNAの翻訳を選択的に抑制する。一方、このTOP配列にhetero nuclear ribonucleoprotein (hnRNP) Dは特異的に結合することが知られている。ラットの組織中のhnRNP Dはラパマイシン投与により、その被リン酸化が減少し、また遊離型の割合が増加した。さらに、ラパマイシンによるTOP mRNAの翻訳抑制は細胞骨格上のポリソームで著しく阻害され、hnRNP Dは中間径フィラメントに結合することが示唆された。以上のことから、ラパマイシンによる細胞骨格上のTOP mRNAの選択的翻訳抑制に、hnRNP Dが関与していると考えられた。
vol.57, Suppl. A pp88~91 (共同研究につき本人担当部分の抽出不可能)