1990年国連開発計画(UNDP)が「人間開発報告」と題する年次報告書を刊行した。初年度の報告書において「人間開発」とは「個々の人の選択の拡大過程」であると定義されているが、この定義は、アマルティヤ・センの「Capability」概念によるものでる。センの「Capability」の出発点は「個々人の選択の自由」であり、発展を評価するに当たって特に重要な「機能」(すなわち人々の福祉の状態あるいは行動)は、「選択の自由」であるとした。この概念に対して「人間開発報告」は、人間開発の状態を把握するための方法として、人間開発指数(HDI)の作成を試みている。
pp140~154