プロクロスの帰一主義的世界観へと帰納されるプラトン各個対話篇に関する単一主題探求型解釈を可能にした前提は、プラトン対話篇のすべてを歴史的ソクラテスの精神の現われとして読み、すべての対話篇は、エレンコス、鍛練的対話、高位仮説探求の対話を下分類とする一つの類、即ち、ソクラテスの問答法の顕現であるとする解釈上の実践からうまれたものであるが、そうした帰一的、単一的解釈を可能にしたのは、対話相手がソクラテスの問いに答えることにおいて真理への志向を備えていると考えることによってであり、この考えは、イアンブリコスに由来する、世界霊魂、個別霊魂が、世界創造、感覚、数学的思考、間接的思考のあらゆる局面で、ロゴス、すなわち、形相を投射しているという汎ロゴス的ロゴスの投射理論によるものである。