擬プラトン著作『アルキビアデス Ⅰ』の中世主要写本における疑問符について調査し、疑問符の形態、並びに、付されている文、文脈の特性を分類記述する。結果から得られる伝承上の特筆すべき事項としては、疑問詞によらない種々の疑問を示す符号として、Vaticanus graecus 1やParisinus graecus 1807(写本A)の手本となる写本にその起源があると想定されるけれども、それに対して、Venetus 185(写本 D)は、テキスト本文は、Bodleianus MS E.D. Clarke 39(写本B)の系統であるにもかかわらず、疑問符は、写本Aの系列にも写本Bの系列に属さない。