福音書製作者が先行資料を如何に編集したかを正当に語り得るとすれば、それは、マタイ福音書製作者並びにルカ福音書製作者各々のマルコ福音書の用い方を精査検討することから始めねばならない。『紀要』34号所載上記先行論文では、マルコ福音書資料編集の上でルカ福音書製作者が選択した文体を議論する際に、マルコ福音書の文体に関し標本を抽出して議論せざるを得なかった。本論文は、この欠を補うべく、マルコ福音書全体に関して、等位接続、従位接続、Asyndetonを中心とした節構造に関する文体を記録集計し、分散状態の違いから資料編集過程の実態を探る試みである。