看護学生が看護の基礎技術として実施するためにハンドマッサージが安全かつ根拠に基づいた技術であることの検証を目的に健常女性10名にハンドマッサージを実施した。その結果、ハンドマッサージ実施前後の身体的指標では血圧が有意な減少を、心理的指標では気分の総合得点(TMD)および下位項目では、緊張-不安、疲労、困乱の有意な減少、状態不安において有意な減少を認めた。上肢への刺激により、血管抵抗が減少したことにより副交感神経が優位な状態になり、気分や不安の軽減にも影響したと考えられた。
また、介入から実施後30分の経過において、血圧(収縮期・拡張期)は実施中に最低値を認め、表面体温は実施直後に最低値を、深部体温は実施直後に最高値を認めた。また、脈拍は実施後20分に最低値を認めた。しかし、血圧、脈、体温とも実施後30分には、実施前の値にほぼ回復したことから、身体への影響は、血圧、体温、脈と時間差があったが、30分後には実施前に回復し、身体への影響は少ないものと考えられた。
症例数が少なく一般化するには限界がある。本研究の結果をさらに確実なものにしていくための検証が必要であるが、看護の基礎技術としてハンドマッサージの導入は意義があると考える。
実験調査