健常者における下肢複合運動と直線運動が上肢運動に及ぼす影響を機能的磁気共鳴画像(functional magnetic resonance imaging:fMRI)を用いて脳賦活部位・脳賦活量を指標とし検証した. 右利きの健常者10名に上肢手関節背屈方向の静止性収縮(U-D-F)・下肢股関節屈曲-内転-外旋方向の静止性収縮( L-F-Ad-E)・下肢股関節屈曲-外転-内旋方向の静止性収縮 (L-F-Ab-I)・下肢股関節屈曲方向の静止性収縮(L-F)の4課題を無作為に各被験者に施行し, 課題運動中の脳活動を3.0TMR画像にて撮像した.撮像結果から脳賦活部位・脳賦活量を算出した.その結果,L-F-Ad-E課題・L-F-Ab-I課題・U-D-F課題で左・右感覚運動野が賦活されF課題で賦活はみられなかった.この結果より,下肢複合運動は下肢直線運動よりも運動の速さ・発揮する力の強さ・運動速度の調整や動作の巧緻性に関連する脳活動の活性化において上肢運動に影響を与えることが示唆された.