この論文の目的は, ある種の有限群スキームのトーサーを決定することである. 群スキームは群を代数幾何学的に一般化したものであり, そのトーサーを決定することは, 群スキームに対するGaloisの逆問題を解くことを意味している. ここで扱う有限群スキームはK. RubinやA. Silverbergらによって研究されているものであり, それはトーラスのWeil制限の間のノルム写像の核の共通部分として与えられるのであるが, この群スキームが高速で安全な暗号を構成するために役立つとして重要視されている. さらにこの群スキームがトーラスのGaloisデサントとして計算に援用できる形で明示的に与えられることが, 小出裕および關口力によって示されている. この論文ではこうして得られた群スキームがトーラスのWeil制限による分解をもつことを示すことから出発し, この分解を用いてこの群スキームのトーサーを決定する.
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