12名の脳卒中片麻痺者(左片麻痺6名,右片麻痺6名)と健常高齢者6名を対象にウェアラブルモーションセンサを腰と下肢に装着後,FSSTを計測し,同時に動画を撮影した.大腿部の角速度信号から4面の移動の相分けを行い,解析は,腰部と大腿部の加速度実効値,角速度実効値,大腿角度の振幅,振幅/到達時間とした.その結果,ウェアラブルモーションセンサで判別したFSSTの到達時間と動画から得たFSSTの到達時間において正の相関が得られた.片麻痺者と健常高齢者のFSST到達時間に差は認められなかったが,腰部加速度実効値と角速度実効値に有意な差が認められた(p<0.05).また,棒をまたいで移動する際の大腿の角度変化パターンに片麻痺者の特徴が確認できた.以上のことから,ウェアラブルモーションセンサを用いたFSSTの評価は,従来のFSSTによるバランス評価を補完する可能性があると示唆された.