変形性膝関節症の発生と進行に関する種々の要因の中で,FTA(Femorotibial Angle)の異常による下肢荷重軸変化は最重要な要因と考えられている.しかし,FTAを計測するためにはX線撮影装置を用いるため,放射線障害を誘発する危険性があり一般には予防に用いられてはいない.本研究の目的は,被ばくを伴うことなく,FTAを計測する方法を開発することである.開発手法は,下肢の特徴点へマーカを取り付け,カメラで撮影した画像に対し処理を施すことで,FTAを計測した.実験の結果,開発手法で求めたFTAとX線撮影によるFTAとのピアソンの積率相関係数は0.944であった.本手法を用いることで,体表からFTAを計測できる可能性を示すことができた.