手浴による自律神経系の変化を明らかにすることを目的とし、健常成人の男女20名を対象に、湯温38℃にて手浴群とアームレストに手を乗せる対照群の比較を行ない自律神経系の測定を行った。副交感神経(HF/(LF+HF))、交感神経(LF/HF)指標を推測し、交感神経優位群と副交感神経優位群の2群に分けタスク前とタスク中の各平均の差の比較を行った。
交感神経優位群においてLF/HFは手浴群(-0.59±0.50)と対照群(-0.01±0.38)において有意な差を認め、HF/(LF+HF)は手浴群(7.49±3.97)と対照群(-2.46±9.31)において有意な差を認めた。副交感神経優位群においてLF/HFは手浴群(0.28±0.32)と対照群(0.02±0.32)において有意な差を認め、HF/(LF+HF)は手浴群(-8.93±6.96)と対照群(-0.46±12.41)において有意な低下を認めた。手浴は交感神経優位群では交感神経活動を抑制させ、副交感神経優位群では交感神経活動を亢進させる。自律神経系のバランスを調整する可能性が示唆された。