印象に残る患者の看取りを経験した看護師の、成長に関連する要因を経験年数により比較することを目的に印象に残る患者の死の体験について「有益性発見尺度」「対処行動尺度」「悲嘆反応尺度」を用いた調査を行った。その結果、看護師の成長については経験年数による差は認められなかった。看護師の成長と対処行動、悲嘆反応の関連を経験年数別に検討した結果、成長に関連する要因として、経験年数0年~3年目では「死別の受容と克服」「存在の感覚」、経験年数3年目~6年目では「死別の受容と克服」「悲嘆の解決」「未解決な悲嘆と葛藤」、経験年数6年目以上では「考え込み行動」「悲嘆の解決」「対象のイメージや悲哀感」と、経験年数により差が認められた。患者の死別の経験を共有することで全体としての看護師の成長に繋がる可能性が示唆された。
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