手浴による自律神経活動のバランス調節効果を検証するために,実験的に交感神経活動が亢進している状態および副交感神経活動が亢進している状態を誘発し,それぞれの状態に対する手浴の効果を検討した.暗算負荷による交感神経賦活状態において,手浴では対照に比べて交感神経の賦活を有意に抑制していた.一方,安静閉眼による副交感神経賦活状態においては,対照に比べて手浴では交感神経活動の有意な上昇を認めた.以上から,手浴は交感神経優位な状態では交感神経活動の上昇を抑制し,副交感神経優位な状態では交感神経活動を亢進させ,自律神経のバランスを調節する効果を有することが示された.