研究課題番号:17510134
(2005年度~2007年度:2,470千円)
大域的なマーケティング現象が、市場の構成要素ないし算出要素間の相互作用を通じて、自己組織的に発現するメカニズムを考察しようとした。まず、個別市場・個別企業に固有の現象ではなく、遍く市場に普遍的に共通する大域的なマーケティング現象を指摘した。たとえば、市場において販売・購買される製品やブランドの数(種類)が、時間の経過に従って周期的に変化することなどである。そして、こうした現象が発現するメカニズムとして、消費者、企業、製品、購買機会など、市場内部を構成する要素間もしくは市場から算出される要素間の、多対多の相互作用・相互依存関係・対話を考えた。たとえば、消費者と企業、消費者間、企業間、消費者と環境、消費者の購買機会間、製品間の相互作用などを考えた。そして、要素間の相互作用を通じて、(市場外からの働きかけなしに)大域的にマーケティング現象が発現することに注目し、その自己組織性について考察した。さらに、エージェント・ベース・シミュレーション、数値計算および社会ネットワーク分析などによって、消費者の購買履歴データを分析すること、また、具体的事例を分析することなどにより、上述の概念を検討することを試みた。今後の研究計画として、まず、概念および操作化モデルを精緻化することが挙げられる。これにより、市場や消費者が有する普遍的性質についての理解を深めていきたい。そして、観察されるマーケティング現象の背後には、どのような相互作用が存在するのか、また、相互作用の存在によって、どのようなマーケティング現象が出現するのかなどを考察していきたい。