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Name Kensuke Sakai
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Title

運動負荷ラットにおけるマグネシウム代謝と骨格筋TRPM7の発現に関する研究 

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第67回日本体力医学会(岐阜)

Publication Date

2012/09/14

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Summary

【目的】マグネシウム(Mg)は生体内のいくつかの糖代謝関連酵素活性に関与しており、また運動負荷はこれらの酵素活性を高めることが知られている。このことは、運動負荷によりMgの生体要求性が高まることを示唆している。一方で膜タンパク質であるTRPM7(transient receptor potential-melastatin-like 7)は、Mgの細胞内取込みに関与していることが報告されており、運動負荷によるMg要求性とTRPM7の発現変動についてはこれまでに報告されていない。そこで本研究では、運動負荷によるMg要求性の変化とラット骨格筋TRPM7の発現量、およびその関係性について検討することを目的とした。
【方法】6週齢のWistar Hannover系雄性ラット33匹を安静群(SED,n=11)、軽強度運動群(LIT,n=11)、高強度運動群(HIT,n=11)に割付け、AIN-93G精製飼料にて1日15 gの制限給餌を行い15日間飼育した。LITは1日2時間強制遊泳を、HITには体重14%相当の重りを体胴部に巻きつけ20秒間の強制遊泳と10秒間の休息からなる間欠的強制遊泳を14回繰り返し行った。強制遊泳は、いずれも水温35℃にて16:00~18:00の間に行った。飼育11日目にはラット代謝ゲージに移し、非吸収性マーカー(カルミンレッド)を含む飼料を供し、糞および尿を回収しMg出納を測定した。飼育終了後には、全血採血屠殺後、腓腹筋を採取した。得られた血液から血清Mgを測定し、腓腹筋からMg含有量およびTRPM7の発現量をそれぞれ測定した。
【結果】飼育期間中、飼育摂取量に有意差は確認されなかったが、HITの体重増加量はLITに比して有意な高値を示した。飼育3日目のラット血中乳酸濃度および腓腹筋におけるクエン酸合成酵素活性は、運動負荷ラットで有意な高値を示した(p<0.001),(p=0.011)。見かけのMg吸収率は運動負荷により有意に高値を示したが、尿中Mg排泄量には有意差は確認されなかった。血清Mg濃度は有意な差は見られなかったが、運動負荷により低値を示す傾向が観察され、腓腹筋Mg含有量は運動負荷により有意に高値を示した(p=0.007)。一方、運動負荷によりTRPM7の発現量は有意に高値を示したが(p<0.001)、負荷強度の違いは発現量に影響を及ぼさなかった。また、TRPM7の発現量は、血清Mg濃度の間に有意な負の相関が、観察されたが(p=0.001)、腓腹筋Mg含有量との間には有意な相関が観察されなかった。
【結論】運動負荷によりMgの見かけ吸収率と腓腹筋Mg含有量が増加し、またTRPM7の発現量が増加したことから運動負荷がMgの生体内要求性を高め、TRPM7の発現量の増加に影響を及ぼしている可能性が示唆された。また、運動負荷強度の相違はTRPM7の発現量に影響を与えないことが推察された。

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