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Name Kensuke Sakai
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Title

マグネシウム摂取量の違いが運動負荷ラット骨格筋に及ぼす影響 

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第67回日本体力医学会(岐阜)

Publication Date

2012/09/15

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Summary

【目的】マグネシウム(Mg)は細胞内での酸塩基平衡、緩衝作用、糖代謝関係酵素活性など様々な細胞恒常性に関与している他、筋収縮にも重要な役割を担っている。しかし、Mgの消化管吸収、尿中排泄制御など生体内での動態については十分に解明されておらず、さらに運動負荷によるMgの生体内要求性の影響については十分な検討がされていない。須郷(2012年JIU卒論発表資料)の報告では、運動負荷によりラットにおけるMg吸収量が増加するとともに血中Mg濃度の低下および骨格筋Mg含有量、TRPM7発現量が増加することが示された。そこで、本研究では食餌由来のMg摂取量の違いが血中Mg濃度と骨格筋(腓腹筋)Mg含有量、TRPM7発現量に及ぼす影響について検討した。
【方法】6週齢のWistar Hannover系雄性ラット72個体を安静群(S, n=36)と運動群(E, n=36)に割付けた。運動群には1日2時間の連続強制遊泳を水温35℃にて負荷し(4PM~6PM)、安静群は飼育ゲージにて飼育した。試験飼料はANG-93G組成に従い、低Mg食(L, 208ppm)、普通Mg食(N, 520ppm)、高Mg食(H, 1300ppm) を作製し、S群とE群を更にそれぞれ3群(L, N, H)ずつに割付けた(12個体/群)。飼料は17.5g/日の制限給餌とし、15日間飼育を行った。飼育11日目から72時間全ての糞、尿を回収し出納試験を行った。飼育終了後は全血採血を行い、屠殺後、腓腹筋を摘出した。血中Mg濃度は測定キット(MgB-テストワコー)を用い、腓腹筋中TRPM7発現量はWestern blottingにより測定をした。また、飼料及び糞、腓腹筋Mg含有量の測定はICP発光分析法を用いた。
【結果】Mg吸収率は、運動負荷により有意な増加を示し(p=0.005)、Mg摂取量の増加とともに有意な低下を示した(p<0.001)。血中Mg濃度はMg摂取量の増加とともに有意な増加を示した(p<0.001)。また、SH群は最も高値を示し、SL, EL, EN群と比較して有意な高値を示した。さらにSL群とEL群との間では有意な差は認められなかった。骨格筋Mg含有量ではMg摂取量の違いによる有意な差は認めらなかったが(p=0.970)、運動負荷により増加する傾向を示された(p=0.092)。TRPM7発現量は摂取Mg量の増加に伴い有意な増加を示し(p=0.014)、また運動負荷によっても有意に増加した(p< 0.001)。群間の比較ではEH群が最も高値を示し、SL, EL, SN群と比較して有意に高値を示した。
【考察】先の須郷の報告では、運動負荷によりラットのMg吸収率は上昇し、血中Mg濃度の低下と骨格筋Mg含有量の増加、さらにはTRPM7の発現増加を示した。本研究においても運動負荷が骨格筋Mg含有量に影響をもたらしたが、摂取Mg量非依存的であった。また、血中Mg濃度は運動負荷による有意な影響を受けなかったが、骨格筋TRPM7の発現量はMg摂取量および運動負荷のいずれの要因についても有意な影響を観察した。これらの結果は、TRPM7の発現が骨格筋へのMg輸送だけに依存するものではなく、運動負荷刺激がMg代謝とは異なる経路でその発現に影響を及ぼすことが推測される。

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