内陸アラスカ先住民社会におけるサケ資源の利用と管理の諸問題
先住民社会によるサケ資源の伝統的利用方法と行政府の資源管理とでは、資源の状態を把握する認識方法が大きく異なっていること、両者の共同管理が謳われている現在でも、先住民のパラダイムは断片化され、行政府による管理の補完に使用されるに過ぎず、先住民の立場が十分に尊重されていないことを指摘した。また、グイッチン社会内部でも社会変化に伴ってサケ資源利用のありかたを巡り見解の相違が現れていることを指摘し、新たな規範の構築を模索する動きとして分析を試みた。pp.131~160
『海洋資源の利用と管理に関する人類学的研究』(国立民族学博物館調査報告 46 岸上伸啓編) 国立民族学博物館、大阪